飲食店がネット通販を始めるときの手順と注意点

コロナ渦を機に、個人経営の飲食店の中にもネット通販をはじめようか検討されている方がいらっしゃるようです。

私が個人で飲食店のネット通販を立ち上げたのは10年以上前で、当時はまだまだ情報が少なく不必要に大変でしたが、現在はネット通販のための豊富なツールやサービス、情報があるので参入ハードル自体は低くなっていると思います。
今記事では個人の飲食店がネット通販をはじめるときの手順や気をつけるべきことを書いておきます。

ネット通販オープンまでの手順

基本的に食品のネット通販になると思いますので、大雑把にみて以下の手順となります。

  • ショッピングカートを決める
  • 販売する商品を策定
  • 保健所に相談する
  • 配送会社を決める
  • ネットショップオープン

注意点をまじえながら、説明していきます。

ショッピングカートサービス(ASP)を決める

個人で、自店の商品を販売するような場合には、楽天市場やAmazonのようなショッピングモール型ではなく、らくうるカートカラーミーショップ [PR]などのカートサービスを利用して自社サイトから始めることをおすすめします。

 

たとえば楽天だと売上に関係なく最低でも2万円前後/月 の利用料が必要となりますし、多くの競合店がひしめく楽天の中で売れるようになるのは結構大変です。(そして担当者から広告枠の購入をもちかけられます)

 

一方で、たとえば らくうるカートの安いプランなら月300円+税から利用できるので、圧倒的に低コストです。
コストとは最終的にお客さんが負担するものだと考えるなら、最初から背伸びして高いコストを掛けるのではなく、持続可能な範囲を見極めておくべきです。

 

ショッピングカートサービスには大体30日の無料お試し期間があるので、この30日以内に他の手続きや準備を終え、お試し期間が終わればすぐ開店するのが理想です。

ショッピングカートサービスの種類や特徴については「ネットショップの料金・機能比較」をご参考ください。

販売する商品を策定する

これは通販に限りませんが、「何を」「どのような形で」「誰に」販売するのかなど、メインターゲット像と商品をしっかりと決めます。

 

冷凍して配送するのか、冷蔵または常温で配送可能なのか。

完成品(そのまま食べられるもの)を送るのか、半調理品(仕上げはお客様自身が行うタイプ)を送るのか、食材そのものを送るのか。

 

包装資材・梱包資材を決める

商品が決まれば包装に使う資材や梱包方法を選定します。

 

「業務用 ダンボール」「業務用 包装資材」など検索すればたくさん引っかかると思います。メルカリなど個人依頼の配送も増えていることもあって小ロットで発注可能な資材も多いですし、いきなり1,000入りのような大量発注するより、100入り、20入りなど身の丈にあった量にしておく方が良いです。

 

商品を入れる袋を密封するためのシーラーや真空パックなどは「業務用」で検索するとウン十万円しますが、簡単なものなら5,000〜3万円で入手できます

 
私は愛用しているのはこれ。

あまりの値段の違いに不安を感じる方もいるかもしれませんが、1日に1,000や10,000商品作るのでなければ十分です。

 

なお、個人的な10年前の反省ですが過剰在庫は無い方がいいです。
当初これは売れるはずと思っていた商品が全く売れず、大量に準備していた包材を使い切るのに3年かかったことがありました。
腐るものではありませんが邪魔ですし、年数がたてば変色や汚れがついてないか気になってきますし、最初は背伸びした仕入れをしないのが吉です。

早い段階で保健所に相談する

商品が決まれば出来るだけ早い段階で所轄の保健所に相談に行きましょう。

 

保健所に行く目的は主に2つで、1つは商品に貼り付ける「商品ラベル(品質表示ラベル)」が適切かどうかを確認してもらうこと。

もう1つは、必要となる営業許可があるか確認しておくことです。

飲食店営業の許可しか持っていない場合は、そうざい製造などの許認可が別途必要となりますので、計画している事業内容には何の認可が必要であるか確認します。

 

地域によって判断が異なるかも知れませんが、基本的に「そのまま食べられるもの」はそうざい製造の営業許可
お客さん側で何らかの調理が必要となる商品には、違う販売許可が必要となります(肉屋や魚屋と同じ扱いになると思います)。

 

営業許可の申請

別途許認可が必要であるなら、保健所の事業所チェックを受ける必要があります。
飲食店の営業許可をとるときも、視察(シンクや手洗い場所の確認など)があったと思いますが、新たな許認可をとるには同様の手順が必要です。

気をつけていただきたいのは、飲食店営業と別に営業認可を受ける場合、まな板・冷蔵庫・シンクに関しては、「飲食店用と別に用意する」必要があるということ。

実際に冷蔵庫を新しく用意できるのならそれが一番なのですが、”そんな余裕はない!”というときは、グラスを冷やしている冷蔵庫などを申告に使うという対応でしのぎましょう。

 

ご存知の通り、保健所の視察も予定が詰まっているとすぐには来てくれません。
なるべく早めに相談に行くべき理由はそれもあります。

できれば保険に入っておく

実際にネット通販で食材や料理商品を販売するようになると、一番怖いのは食中毒事故です。
飲食店を経営されているなら総合補償保険に入っているはずですが、保険会社によってはオプションで通販で食中毒が発生したときの補償もつけられます。(お見舞品の代金など)

事故は起こらないのが一番ですが、万一の際に備えて保険担当と相談しておくことをおすすめします。

通販ショップオープン

許認可や資材の準備、購入ページの制作などが全て終われば晴れて通販ショップオープンです。
ショップオープン = すぐに売れる! わけではないので、SNSなり何なり利用して、少しでも多くの人にショップの存在を知ってもらいましょう。

ネット通販も実際のお店も一緒で、オープンさせてからがスタートです。

少しでも参考になりましたら幸いです。