ヤマト運輸の らくうるカートを使ってみました【2023年3月更新】

クロネコヤマト らくうるカート

近年EC事業にどんどん手を伸ばしてきているヤマト運輸。ついにネットショップ作成ツールまで始めていたようです。

この記事を書いたのは5年前なので、ちょこちょこっと加筆修正しました(2023年3月12日)。

結論:少しでもネットショップの事務作業を軽減したいお店に超おすすめ

2023年追記で、最初に結論を書いておきますが、らくうるカートが目指しているのは、「少しでも事務作業を減らし、商品の企画・生産・製造に集中する」ことだと考えます。

その為にはショップ構築の段階でテンプレート、メールテンプレートを作り込み、設定しておくことが必要ですが、ひとたび作ってしまえばあまり手を入れる必要はないと思います。

*らくうるカートに限らず、集客がSNSや動画サービス中心となってきている以上、なにかしらの情報発信は必須です。

ショップ構築・設定がきちんとできていれば、伝票発行やメール返信などに費やす時間は大幅に削減できるはずですし、PCを持っていない場合でもスマートフォンから商品登録・販売することも可能です。

詳細は以下に書いていますが、ご不明点やショップ構築のご相談はお気兼ねなくお問い合わせください。

(2023.3.12追記おわり)

らくうるカートの謳い文句としては

HTMLの知識がなくても簡単にネットショップが作れる
月額300円から利用できる
スマホからでも商品登録・販売できる
受注データ・顧客管理・配送情報などを一元管理できる

実用性があるのか、カード決済の手数料はいくらかかるのか、ロイヤリティは必要なのか等、気になった点を調べつつお試しプランを試してみました。

シンプルで使いやすい管理画面

まずらくうるカート(https://business.kuronekoyamato.co.jp/raku-uru/)にアクセスし「30日無料お試し」から仮登録。

希望するURLとメールアドレスを登録するとすぐにお試し用のIDとパスワードが記載された確認メールが送信されてきます。

なお、らくうるカートの利用は個人事業主または法人のみとなっていますので、事業として申請していない個人の利用はできません。

どうやって個人事業主であることを確認するのかと不思議に思ったのですが、らくうるカートのクレジットカード決済である「クロネコWEBコレクト」の利用開始時には、地域の担当の方が事業所に契約書もって来られるので、それをもって確認しているのかも知れません *注:古い話なので今はどうか知りません。(自宅兼仕事場の場合はどうするんだろう・・)

私の場合は元々ヤマト運輸と契約していましたし、カラーミーでクロネコWEBコレクトも利用していたので、改めて確認されることはありませんでした。

らくうるカート
らくうるカートの管理画面

管理画面にログイン。簡素な見た目です。
少し簡素すぎて寂しい気もしますがごちゃごちゃしてないので迷うことはないでしょう。

かなり作り込める可能な商品登録

無料で用意されているテンプレートが結構ちゃんと作られているので、商品名・価格・画像などの基礎情報だけ入力して簡単に済ませても良いですし、

  • ページタイトルとdescriptionの別入力が可能。(商品名はシンプルに、ページタイトルは派手に とかできる)
  • SNS用のOGP設定が可能(商品画像、SNSシェア用の画像、一覧表示用の画像をそれぞれ違う画像にすることもできる)。
  • バリエーション(商品オプション)ごとの画像、タイトル、JAN入力などなど可能
  • 商品ページにフリースペースが3箇所もある(そんなにいる?)。
  • 商品情報はhtmlで自由記述することができ、cssもjsも自由自在

のでカスタマイズ大好きな人でも満足できそうです。

驚いたことに、<head>内のhtml編集まで全てできます。よくある「head内に追記できます」とかではなくて、<!DOCTYPE html>の部分も含め全て編集可能です。こんなあけっぴろげで大丈夫なのかと逆に心配になります。カスタマイズし放題ですが、一歩間違うと真っ白なページになります。

最大の弱点はプレビュー機能がないこと。これは本当に不便です。

失礼ですが予想していたよりも遥かにちゃんとしています。

「簡単にネットショップが作れる」だけを目的にしているのではないなと感じます。

ちなみに、らくうるカートのテンプレートはdjango(ジャンゴ:pythonのWEBフレームワーク)で作られているっぽいですね。テンプレートで使用する変数( {{$shopName}} = ショップ名  など)は全て公開されているのと、らくうるカートでは、djangoの関数あまり使えないので別に知識は必要ないかと思います。

お店のデザイン編集

テンプレートがいくつか用意されており、それを元に編集していく感じです。
背景色やフォント指定など簡単な設定で済ませてしまうこともできますが、先ほど書いた通りhtml、cssを完全編集することが出来ますのでその気になれば別物に作り変えて使用することも出来るでしょう。

テンプレートは全てスマホ対応のレスポンシブデザインです。この辺りは最近は必須というか当たり前ですね。

用意されているテンプレートをカスタマイズなしで使用するとこんな感じのレイアウトになります(PC版)。

らくうるカート 商品画面
引用元:らくうるカート公式サイト

メールテンプレートの自由度もすごい

受注確認や発送案内などに使うメールテンプレートは、大体テキスト部分の編集が可能なぐらいですが、らくうるカートのメールテンプレートでは専用の変数、if・for文も含めた全文編集可能です。

具体的にいえば、
決済方法がクレジットカードの人にはAの文面、
銀行振込の人にはBの文面
クレジット決済で配達希望日時があればA+Cの文面、、 

など、1つのテンプレートで様々な内容を設定できます

ということは、「わざわざ手動の確認メール送らなくても自動送信メールだけで事足りるんじゃない?」ってことで、同じお客様に自動と手動で2回も確認メールを送るという作業は過去のものなんだと提案しています。
実際、BASEにいたってはメール送信機能すらないですし。(もちろん備考欄に入力があればすぐに分かるように設定しています。)

独自ドメインの使用可否

ライトプランではサブドメイン(【最初に設定したID】 .raku-uru.jp/ )のみ利用可。

レギュラープランでは所有しているドメインの利用、またはらくうるカートから無償貸与されるオリジナルドメイン(com,net,biz,org,info)での利用となります。

きちんとしたネットショップ運用を考えているのでしたら、やはり独自ドメインでの利用がのぞまれます。
なお、らくうるカートから取得したドメインは解約時に返還しなくてはならず他社への引き継ぎができませんので、将来的に他サービスに移籍する可能性がゼロではないのならお名前.comなどでドメイン取得しておくほうが良いと思います。

独自ドメインを利用している場合のメール

らくうるカートで独自ドメインを取得している場合、独自ドメインのメールアドレスを入手利用することも可能ですが、自動送信されるメールについては、初期ドメイン@raku-uru.jp のメールアドレスが送信元となります。

配送会社はヤマト以外も可能

これも意外でしたが、ヤマト運輸以外の配送会社を利用することも自由です。

仮に佐川使ってたとしても、ちゃんと配送伝票用のCSVデータも出せます。
ヤマト運輸以外の配送会社を利用したい(している)から らくうるカートは使えないということではなさそうです。


もちろんヤマト運輸を利用する方が受注配送データを統括できるメリットはあります。受注画面からそのまま送り状の印刷・伝票番号の同期が行われるのでかなり楽です。

メールテンプレートもそうですが、作業自動化による負担軽減らくうるカートの最大の特徴です。

基本の決済はクロネコWEBコレクト

らくうるカートのクレジット決済はネットショッピングで利用されるほとんどの決済手段を一括で利用できるクロネコWEBコレクト。(https://www.yamatofinancial.jp/wc/

VISA・JCBなどの主要クレジットカード・コンビニ決済・電子マネーなどほぼ全ての決済を一括で申請・利用可能なサービスです。事業規模(発送数)によってコンビニ決済・電子マネーは利用できない場合があるようなので、担当者さんに確認してもらうと良いかと。

初期費用・月額利用料などは無料で、カードの決済手数料は5%。

カラーミーショップとらくうるカートの料金比較

らくうるカートを独自ドメインで運用する場合、レギュラープラン(年額39,600円/月あたり3,300円)となりますので、金額の近いカラーミーショップ [PR]のレギュラープランと比較してみました。

今月(R4年4月)からカラーミーさんサービス内容のバージョンアップ&値上げしたので修正入れました。

詳細は後に書くとして、とりあえず一覧にします。

項目らくうるカラーミー
初期費用5,500円3,300円
月額料金3,300円4,950円
販売手数料なしなし
クレジット手数料5%5.5%
商品数上限無制限無制限
無料テンプレートの出来
外部カートhtml埋め込みjs型
メルマガ発行
レビュー機能
ファイル管理×
FTPなしあり
APIとか拡張性あり
サブスク(定期販売機能)あり(無料)あり(有料)

*金額は税込です。カラーミーのクレジットカード手数料はイプシロン利用と仮定しています。

初期費用はカラーミーの方が安い

カラーミー3,300円、らくうるカート5,500円、というわけでカラーミーショップ [PR]の方がお安いです。

無料ショップサービスが出回るこのご時世に、後発ショッピングカートのくせに(失礼)初期費用5,500円って結構攻めるなぁーって思ってます。

月額利用料と販売手数料

カラーミーが値上げしたので、らくうるカートの方がお安い。販売手数料はどちらもなしなので引き分け。

ケースバイケースなので表には書いていませんが、らくうるカートでは無償貸与の独自ドメインが選択可能なのに対して、カラーミーでは自分でドメインを取得・管理する必要があるので、それも運用コストに入ります。

クレジットカード決済

イプシロン利用の場合、カラーミーショップは5.5%または1,300円いずれか高い方。
らくうるカート(クロネコWEBコレクト)は5%なので、コストとしてはヤマトの方がお得。

入金サイクルはヤマトの圧勝ですね。(イプシロンは翌々月の20日 *有料オプションで翌月払いも可能)

ただし、カラーミーショップ [PR]の強みは自由に様々な決済方法を追加できるという自由度の高さなので、手数料の安さだけでは測れません。

らくうるはクロネコWEBコレクトしか選択肢がないので。

無料テンプレートの出来

これは間違いなくらくうるカートの方が優秀です。それだけにレビュー機能つけてないのが勿体ない。

この4年で古くなってしまった技術もありますし、CSS読んでて思わず1人でつっこんだ部分もありますが、カラーミーの無料テンプレート、何年前から変わってないっけ。。って話です。少なくとも文字コードEUC-JPはもう止めてほしいんですが。

外部カートの設置可否

カラーミーショップでは「どこでもカラーミー」というjava script型の設置。

らくうるカートはhtmlコードを埋め込むことで設置できます。

JS型は自動的に商品情報を読み込んで表示するので、販売価格を変更したときや、販売終了になったときが楽なんですよね。html型は全て手作業で修正する羽目になるので。

メルマガ発行機能・レビュー機能

厳密にいうと、らくうるカートにメルマガ発行機能はありません。購入者のみ対象に発行できる「販促メール機能」があるので一応「▲」です。

らくうるカートにレビュー機能が無いのはつらいところ。口コミはSNSに書くからとかいう声もありますが、それでもレビュー機能の有る無しは大きいと思うんですけどねぇ。

ファイル管理・FTP機能

カラーミーショップの画像ファイル管理がひどいのは相変わらずです。一括アップロードはFTPのみ可能(というかFTPは画像アップロードにしか使えないと聞いた。(けど、違うという意見もあるのでよく分からない)ですし、管理フォルダも管理できてないし。

らくうるカートはFTP機能は無いですが、普通に一括アップロードで画像ファイル(jpg・png・gif・webPなど)・動画ファイル(mp4・wmvなど)・資料ファイル(pdf・office系)・コードファイル(css ・java script)など31種類のファイルがアップロード可能なので特に困りません(合計50MBまでなら1回でアップロード可能。)。

webPファイルやwoff、 woff2もファイルアップローダーで登録できますので、カスタマイズ大好きな人には垂涎ものですね。1ファイルにつき10MB以内という制限さえ守ればなんでもいけそうな気がしています。すごく便利。

スマホで撮った30秒ぐらいの動画なら10MBに収まるだろうし、商品説明に簡単な動画載せるのもありです。

機能拡張制

これは圧倒的にカラーミーの方が良いですね。

商品情報や注文情報用のAPIが公開されてる&無償利用できるので、自分でアプリ作るもよし。カラーミーのアプリストアで使いたい機能だけ購入するもよし。

らくうるカートは、そもそもがクロネコWEBコレクトとか色々なヤマトグループ内部とリンクしまくっているので、第三者のアプリを許可したりAPI公開するのは難しいんだろうなと思います。

サブスク

サブスクという言葉が世に出るはるか以前からカラーミーには定期販売機能というものがありました(レギュラープラン以上)。専用のカラーミーリピートという別サービスもあります。

カラーミーリピートと比べるとカラーミーのサブスク機能は少し貧弱ですが、そんなにこまかい設定が必要ないのならカラーミーだけでもサブスク商品を販売できます。

一方で、らくうるカートは2022年9月からすべての契約プランを対象に定期販売機能を公開しました。

配送会社だけに細かい設定も可能なので、ライトプランもふくめこれを公開したのはすごいなと感心します。

カラーミーとらくうるカートの比較まとめ

基本のサービス内容の範疇なら、らくうるカートの方が良いと思います。

逆に、色々な決済を導入したい とか 基本にはない機能を拡張したい(他ショッピングカートとのリアルタイム在庫連動とか)となると、自由度の高いカラーミーショップ [PR]をおすすめします。

個人的な感想ですが、1人店長とかネットショップ専用のスタッフがいないお店には良いと思います。余計な作業しなくてよくなるから本業に集中できますし。

特に、送り状発行などの事務作業は本当に楽になります。これまで手動で対応していた方はきっと感動するレベル。

あと、SEOやサイト編集の知識が無い方がこれからネットショップを始めるのなら、間違いなく「らくうるカート」を薦めます。

ほかにも、メインのショップサイトと別ドメインのショップを作ることもできて、それを使えばスマホだけで商品登録できたりしますしね。

意外と町の八百屋さんやお肉屋さんが、仕事の合間にスマホで写真とってそのまま商品登録して、宣伝やタイムセール商品として販売してもいいんじゃないか?と思います。

スマホは使えるけどパソコンには自信がない、、という方でもきちんと作れる・使えるように設計されていると思います。百聞は一見にしかずということで実際試してみてください。

ヤマトの中の人の話では、「今年中はとにかくアップデートしていく」ということでしたので、更におすすめできるECツールになりそうです。

なんと4年たった今でも時々アップデート情報が来ます。でも私の出してる要望が全然通らないので悲しいです。

アップデート続報が楽しみです。